NEM財団副代表、Jeff発言の要約 (NEMミートアップ東京)

2018/1/28(日)、NEMの公式ミートアップが東京で開催されました。

プログラムは、勉強会・ゲストトーク・懇親会の順で進行し、当日は物販コーナーもありました。

その中で今回は、NEM財団副代表Jeffのゲストトークに焦点をあてて、お伝えしようと思います。

Jeffのトーク時間は約50分あったので、かなりボリューミーでしたが、Q&A箇所と要約にまとめました。

(全文は最下部に掲載)

前提として、ミートアップ当日の2日前にコインチェックへのハッキングがあり、前日の夜遅くにコインチェックが自己資金で顧客に流出分のXEMを補償すると発表したばかりでした。

なんてタイムミング…( ̄▽ ̄;)

そのため、Coincheckの件に関して、参加者も世間も関心が高かったという前提の状況があったと認識の上で読んでいただけたら。

Q&A

(まずは事前のTwitter募集の中から)

◆1つめ

Q.NEMはどのように今後広がっていきますか?

A.まず、どの数値を見ても我々の想像を超えるような大きく伸びているのがNEMの展開である、どの数値を見ても驚異的な成長が伺えるように考えています。

皆さんの中にはカタパルトの開発はどうなっているのかと思われているかもしれませんが、元々の予定よりも早いスピードで進んでいます。25ヶ月前から開発を行なっていて、実際に使ってみましたが、スマート機能が追加されているということで非常に使いやすい、素晴らしい機能になっております。本当に使いやすい、ウィンドウで使いやすく動いてくれるので、他のプラットフォームには戻れないというくらい、素晴らしい機能になっていると思います。

現在74名がフルタイムで働いていますが、これでは足りないということで、これからも随時、ディベロッパーの採用を行なっていこうと考えております。また、組織全体としてのトレーニング・検証をしっかりと行なう中で、あらゆる需要に応えられる形での組織力を強化していきたいと考えております。

◆2つめ

Q.PoIの概念に共感を覚えてNEMが好きになりました。ハーベスティングは、NEMネットワークを積極的に使う人が利益を得られる仕組みですが、この仕組みが優れているのは富の分配の面で誰でも平等に機会を与えています。主な目的は世間一般の人に力を与えることと言えます。ハーベスティングの条件に1万XEMが必要ですが、XEM市場価格の高騰につれ、1万XEMを保有することが困難となった場合、世間一般の人の定義からは離れていくのではないかと思います。今後、ハーベスティングを行なうための、1万XEM保有条件を減額する可能性はありますか?

A.2015年にNEMができた当時の1万XEMは、当時の価格で10ドルくらいであったということで、当時としては低いレベルに抑えることで多くの方にハーベスティングに参加してもらえるということを狙ったものでありました。しかし、先ほどもありましたけれども、成功をどんどん収めていく中で、この価格が上がってきているということは十分認識はしております。ただ、現時点でのNIS案の中では、現在のハーベスティングの下限の情報というところに問題が対応されておりませんので、現時点での1万という数字を低い数字に変える予定はありません。ただ、カタパルトが出た後、その段階でより良いやり方で対応していくということで、この1万という問題に関しては対応していくということを考えております。現時点ですぐ引き下げるという予定はございません。

◆3つめ

Q.投資家の関心の一つに、中国や韓国など、大手取引所へのXEM上場期待があります。取引所によっては、通貨の審査だけでなく、申請料が必要なところもあります。そのような取引所への上場の働きかけを財団から行うことはありますか?もしないとするならば、大手取引所への上場可能性が低くなると思います。

A.もちろん、ほぼ全ての大手取引所と話をしておりますが、実際、どの取引所とどういう話をして、何をしていないのかということについては、守秘義務の観点から具体的な話はできません。

直近のところも、6ヶ月間、申請までの期間がかかりましたので、大手の取引所に上場するというのはすぐにできるものではなく、準備等含めて時間がかかるものであると考えております。

(続いて、会場の参加者の中から)

◆4つめ

Q.コインチェックについてですが、公式で24時間以内にアカウントにタグ付けして追跡できるシステムができたというふうに伺ってたんですけれども、それの進捗がどのようになっているか。それと、水無凛さんという日本人の方がそれに協力されているとネット上では話があるのですが、どういうふうな協力体制をとっているのかということをお聞きしたいです。

A.普段も常に関わっております。幸いにもアカウントのウォッチング機能が加わりましたので、テレグラムや他の様々なツールがあったということは、幸いではあったんですが、おそらく皆さん、今システムはどうなっているのか知りたい状況だと思いますが、今この状況の中でシステムのことを詳細にお話すると、これがどこかに漏れてしまって、ハッカーがそれを悪用する可能性がありますので、現時点での進捗状況については残念ながらお話することはできません。

凛さんですが、同じファウンデーションの従業員、私の部下ということで仕事をしてくれています。ですから、このハッキングの情報が公になる前に凛と話をして、アカウントのウォッチングをして欲しいということで、どのような形でできるのか、その可能性についても公になる前に話をしました。非常に迅速に対応して熱心に取り組んでくれています。現在凛が使っているトラッキングシステムも丁度更新した、もしくはすぐに更新をかけていく段階に入っています。

発言内容の要約

  • コインチェックとは連携して、問題の対処に当たっている
  • NEMの仕組みに問題があったわけではない
  • ハッカソンやコミュニティファンドの提案をはじめ、世界中でNEMが盛り上がってきている
  • NEMはビットコインやイーサリアムにない柔軟性や機能を持っている
  • カタパルトは非常に素晴らしく、期待できる
  • NEM.io財団の組織力を強化する
  • ほぼ全ての大手取引所と上場交渉中だが、準備に時間がかかる
  • コインチェックのハッキングについて、漏えい防止のため、詳細なシステムや手法の話はできない

以降は全て、NEMミートアップ東京で語られた、NEM財団副代表のJeffからの発言になります。(話題毎に分けてあります)

なお、日本語で全文載せていますが、以下のような状況もあり、日本語に訳す過程で少々ニュアンスが変わってしまっていたり、聞き取れていなかったりする部分もありますので、温かい目で見守って頂けると助かります。

  • 通訳が同時通訳であった
  • 通訳が聞き取りづらい箇所があった
  • 通訳者が仮想通貨に詳しいわけではなかった

Jeffの発言内容の全文

CoincheckのXEM流出の件について

コインチェックさんの一部の資金が引き出されたということについて、弊社の24時間体制のコールセンター(オーストラリア)に連絡が来ました。

実際に情報を確認して、引き出された後に何か事後対応することはなかなか難しい状況ではあります。

これまで何度か電話会議をして、コインチェックさんと話をして来ました。その中でアドバイスを提供したり、コインチェックの状況を確認したりしてきたわけですが、非常にストレスのかかるこの状況の中でも、コインチェックの方々はプロとして透明性を持った対応をされていると思います。

これまでハッキングが起こった時には、何か嘘をついて状況を逃れようという事件がこれまでありました。また、周りの人がお金を持って逃げてしまうということもあったわけですが、今回の非常に厳しい状況の中でも、尊敬するような形で、プロらしい対応をとられたと考えています。

我々として、現在注力したいポイントとしては、NEMのコミュニティを守っていくこと、NEMのテクノロジー、ウォレットを守っていくことを一番に考えています。いくつもの中から一番良い対応方法を現在検討している状況であります。

信じて頂きたいのは、我々がチーム全体として取り組みを強化していて、ミーティングも数多くこなしてきました。また、プロジェクトのメンバーも開発担当者も、プロジェクトをいくつか行いながら、どの対策を取るのが一番良いか、現時点での検討を重ねております。ただ、今はこのセキュリティの問題が非常に懸念されている状況でありますので、これ以上具体的にどういった対策をとるのかということに関しては、現時点でのコメントは差し控えさせて頂きたいと思っております。

これまで開発したいろんな製品を提供してきたわけですが、弊社にはNEMの素晴らしいパワー、API、優秀な人材がいるということで、様々な分野での開発を行い、製品を提供して参りました。特にNEMのオンチェーンの契約をすることによって、オフチェーンと連携をとることができるようになったことで、さらに可能性が大きく拡大しています。

現在皆さんが使えるような全てのエコシステムの中、製品としてサービスとして存在しているものであるということもお伝えしておきたいと思います。

我々としては一元集中型のソリューションではなく、誰か特定の方に作業を押し付けるとかそういったことではなく、分散化した形でのソリューションを提供していきたい、その方向性は変更がありません。

我々としてはスマートなデジタル資産があります。また、NEMの様々なこれまでのオフチェーンの技術、ならびに様々なテクノロジーがありますので、必ずしもNEMファウンデーション?(←聞き取れず)しなくても、分散されたソリューションの形態、ストラクチャーをうまく使うことで、他の方でもこういった開発を行うことができます。

まとめますと、今回の事件があったからといって、テクノジーそのものの方向性を変えることはありませんし、今回の事件があったことが必ずしもNEMのテクノロジーの欠陥であるとは考えておりません。

NEMのテクノロジーはこれまでも非常に良い成績を収めて参りましたし、技術、ファンクションを提供してきたと思っております。ですから、こういった事件はありましたが、これからも引き続きご利用頂ければと思っております。

私は今回の問題はあくまで法律の問題であるというふうに考えております。刑法の中でしかるべき当局、つまりこの場合は日本の規制当局、法務当局になるわけですが、それ以外にも影響を受けた管轄・地域の当局と協力をする形で、本来の刑法に乗っ取った形での処理・対応をしていくということになると考えております。

この点に関してご質問がありましたら後ほどQ&Aという形で伺っていきたいと思いますが、まずはじめに次のトピックに移りたいと思います。

世界の盛り上がり状況

いくつかアップデートがあります。現在、ブロックチェーンのセンターがマレーシアの方に開設されていまして、入居されている方もいますし、それに向けての開発が進んでいるということで非常にニュースがあります。

マレーシアだけが盛り上がっているだけでなく、世界中で毎日のようにこのようなフォーラムが行われています。毎日でないとしても、2,3日に一回はこのようなフォーラムが行われています。

現時点で、我々の委員会の中で、コミュニティファンドプロポーザル、提案のガイドラインの書き直し・見直しを行なっております。最後にこのガイドラインができてからしばらく経っておりますので、現状を反映する形で最新のものにガイドラインの更新をかけております。

また、非常に多くのファンドの提案がされております。もしまだご覧になってない方がいらっしゃったら、NEMのニューフォーラムの方に行って頂けますと、これまで出された数多くの提案内容をご覧いただくことができます。しかしながら、この盛り上がりというのは、コミュニティファンドの提案だけではなく、ハッカソンにも及んで非常に盛り上がりを見せております。

ハッカソンにおいても、素晴らしいプロジェクトが非常に多く走っております。また、NEMのコミュニティも大きく拡大し、新しいディベロッパーの方が参画するということで非常に盛り上がりを見せています。

なぜ、ハッカソンやコミュニティファンドの提案でこれだけ大きな盛り上がりが出てきているのかということですが、多くの方々がやっとNEMの〇〇(←聞き取れず)を理解し、使い始めたということが背景にあると思っています。

NEMについて

まず、基本的なことに立ち戻りまして、そもそもNEMとは何なのか、なぜこのような盛り上がりが起こっているのかをご説明していきたいと思います。

サトシナカモトさんがビットコインを作りましたが、できた当時、何か他のこともできるのではないか、そういったアイディアがありました。

まず一つの考えとしては、ブロックチェーンを使って世界中に送金ができるといったアイディアがありました。

ブロックチェーンを使ったビットコインが非常に優れたところというのは、お金の送金について非常に優れている点であります。

ブロックチェーンですが、ある意味データベースと考えて頂いて結構だと思います。新しい革新的なデータベースであること、つまり拡張性があり、安全でかつパワフルなデータベースである。ただ、できることが送金をすることに限られているといった面もあります。

2013年末、もしくは2014年頃、〇〇さん(←聞き取れず)という方がブロックチェーンはデータベースということでトラッキングができる、これは素晴らしいことではあるけれども、それだけでは十分ではないという考えも出てくるようになりました。

この方が素晴らしいアイディアを持っていたんですが、ブロックチェーンを”Source of Power” パワーの源。何に対してパワーを提供するのかというと、イーサリアム、ヴァーチャルマシーンということで、小さなコンピュータ、パソコンのように考えて頂ければと思います。

((しばらく聞き取れず))

もちろん良いことばかりではなく、やはりマイナスの点もあります。問題になりますのは、イーサリアムの仮想化の話、そして〇〇(←聞き取れず)。これを動かすためには、Linuxで動かすようなコマンドラインが必要であります。しっかりとしたプログラムでなければ動かせない、ということがわかりました。また、プログラムに何か問題があれば多くのバグが出てしまうといった問題点もありました。

イーサリアムは製品としては非常に良いものであったわけですが、プログラミングが難しいといった問題点がありました。

NEMは仕組みが違います。

ビットコインはトラッキングを行なうためのデータベースがあるわけですが、NEMの開発担当者が、ビットコインのデータベースは非常に良いアイディアだが、そのデータベースはあまり良くない(Not powerful)と考えました。

実際にこのビットコインのデータベースそのものは、マルチシグネチャがない、ドメイン名がない、メッセージングができないといった、様々な足りない部分があると感じました。

もう一つの方(←?)のデータベースの開発担当者は、クラウドでいろいろなものを載せようという方向性で開発を進めていったわけですが、NEMの開発担当者はデータベースをさらに拡張して強化する、新しい全く違うものに変えよう、というふうに開発の方向性を決めて進めていきました。

ですから、もし皆さんがアセットをNEMのデータベースに入れたければ、プログラムをすることでそれを入れることもできますし、追加機能が必要であればプログラムをすることで、NEMのデータベースにそれを追加することができます。

質問ですが、イーサリアムができることと同じことができる暗号通貨というのはいくつあるかご存知でしょうか?

イーサリアムのブロックチェーンの中には一つの暗号通貨しかありません。それがイーサということになります。

それ以外のものはイーサリアムのバーチャルマシーンから見ると資産ではない、あくまでも資産外になってしまう。

他の通貨に対してのプログラムを組んだ場合には、このデータベースの中で動かない可能性もあります。

それに対して、NEMはいくつの暗号通貨が対応できるのか?ということの答えとして、無制限であるということになります。

NEMの開発担当者は、コアになるNEMのデータベースの中に全てのプログラムを入れたということで、どの暗号通貨にも対応することができるわけです。

NEMのネイディブカレンシーであるXEMと同じような形で、他のアセットも対応することができる、そういった柔軟性がNEMのテクノロジーの中にはあるわけです。

NEMの中にはイーサリアムのようなスマートコントラクトというものはありません。そういった意味ではNEMのほうが柔軟性は低いですが、…(聞き取れず)

イーサリアムの場合は、イーサリアムバーチャルマシーンの中に入っている、一つのスマートコントラクトにしか対応できないといった問題点がありますが、その3倍のスマートファンクションがNEMの中にはあります。

NEMの3つのスマートファンクション

一つ目のスマートファンクションとしては、コアの中に決められた機能に関してはそれを実装して使うことができるようになります。

このプラグインの〇〇(←聞き取れず)としては、アセット、ネーム、ハーベスティング、マルチシグといった、〇〇(←聞き取れず)

これが最初の機能ということになります。

二つ目の第2レイヤーのスマートファンクションとしては、プロトコル等があります。

プロトコル、スタンダードがあるということで、機能としてはコアの中に入っていないとしても、プラグインテクノロジーを使うことで、機能をスタンダードの中に入れて、それに〇〇(←聞き取れず)を立てることができます。

(聞き取れず)…スタンダード、プロトコルになります。

今出てるプロトコルやスタンダードの中で一番強い〇〇な(←聞き取れず)ものが我々のプロトコルだと考えております。

まず、認証を行うサーティフィケイトを提供します。

その認証を行うところに移すこともできます。

また、この認証そのものをアップデートしたり、更新したものを送るということもできますし、IoTと繋ぐこともできます。

また、投票システムにもいろいろありまして、プライベートな投票、パブリックな投票、複数のものから選ぶ形での投票も可能です。

今後の話になりますが、一度投票した内容をもう一度投票し直すものもありますし権限移譲という形で友人に自分の代わりに投票してもらう、そういったものも今後は提供していこうと思っております。

3つ目のスマートファンクション、…(聞き取れず)

オプトインという形で様々な業界、ビジネスに対して提供できる、パーソナライズされた、カスタマイズされた契約になります。

なぜ第3レイヤーの契約が可能になっているかということですが、まず、NEMの分散化されたAPIがあるからということになります。

例えば、コインチェックの話に戻りますが、

この3つのレイヤーを全て使った形で、非常に高度なコントラクト、契約を行うということで、今何が起こっているかをしっかりとトラッキングすることができます。

そして、プロトコル、スタンダードを使う中で、非常に高度なビジネスのロジックを持たせて、全てをモニタリングするのか否かというところも提供することができます。また、この情報を使う形で、スコアトランザクションの機能を使って、このスマート機能というものを実装していくということができます。

実際にこのレベルの開発を行う際には、通常は何週間、何ヶ月単位ではなく、何日という単位で開発が行われています。

簡単ではありますが、以上がNEMのテクノロジーの導入部分、そして現在我々が非常に楽しみにしてる状況・展開について、またコインチェックについてのコメントをさせて頂きました。それではこれから皆さんの方からご質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. […] そのうち2つはこの記事の終盤、Q&Aの1つめと2つめです。残りの2つの質問は時間の都合でカットとなってしまいましたが、ちょうどどこかしらで話題になっていたものをキャッチして投げたものでもあり、今後のNEMにとってそれなりに重要だと思ったので主催のニンヂャ氏に事後質問してもらってましたので公開します。 […]